一人暮らしで人の良さそうな独身男は格好の標的なのでしょう。ほどなく、週末毎にいろいろな女性が宗教の勧誘にやってくるようになりました。ある日、現れたのは…
赤ん坊を背負い、幼子の手を引き、少しやつれた、でも結構な美人!(若い男は美人に弱い)
しかしこの女性、なんだか怪しい宗教書を手に「この本は絶対に良い!すごく感動した!!是非是非是非…読んで!読んで!読んで!…」と実に強引で実にしつこく、「この本」を買わない限り解放してくれそうもありません。
私は別に宗教が嫌いではありませんが、さすがに辟易としてきました。
突然、天啓を得た私は奥の本箱に走りました。愛読していた数学書を手にとって返し「この本は良いですよ!ほら、ここのところの証明なんて感動ものです。どうです?すごいでしょう!大きな本屋に売っていますから是非、買って読んでみてください。絶対に良いですよ!」と今のハルさんよろしく捲し立てたものです。
するとあの強引さは何処へやら、女性は絶句して立ち去り、二度と現れることはありませんでした。(単に私を「頭のおかしい奴」と思っただけかも。)
赤ん坊を背負い、幼子の手を引いた後ろ姿が少し寂しそうで、胸がチクリと痛みました。
ちなみに後年、ハルさんが赤ん坊を背負い、幼子の手を引いた後ろ姿はとても逞しく、「3人目も大丈夫」との意を強くしたのでした。
更に後年、ハルさんが赤ん坊を背負い、自転車の前後に子供を載せて4人乗りで疾走する姿はあまりに逞しすぎて、彼女の友人達の語り草になったものでした。
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